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しょーもな調査隊「先取すると強いスポーツ、調べてみた」「オタクのメガネ率、調べてみた」「アイドルソングの一人称調べてみた」「アンパンマンのキャラどんな食べ物が多いか、調べてみた!」レビュー

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約7分

「ジロジロ有吉」の評論情報系同人誌特集を視聴し、ある著者の作品が私の目を引きました。それは「しょーもな調査隊」(@shomona_chosa)さんの著書です。

私自身、ドジっ子看板の統計調査を行った経験があることから、この著者の作品に強い興味を覚えました。好奇心に駆られ、BOOTHの「しょーもな書店」から4冊の本を購入。

これらの本について、詳細なレビューを書きます。同じく統計やユニークな調査に興味がある方々にとって、参考になる情報を提供できればと!

先取すると強いスポーツ、調べてみた。

先取すると強いスポーツ、調べてみた。

10種類のスポーツ競技について各100試合の結果を分析し、先制点を取ることと勝利の相関関係を明らかにした興味深い一冊です。特に印象的だったのは、柔道と野球に関する意外な調査結果です。

柔道では先取の勝率が100%という驚異的な数字が示されました。これは「有効」の廃止が影響しており、「技あり」の高得点化により、先制攻撃の重要性が極めて高まったことを示唆しています。

野球については、後攻が有利と言われています。それはホームチームである点と、後攻はサヨナラ勝ちがあるからです。しかし、2021年の調査結果では先行の勝率は48%、負け率は39%(引き分け13%)となっており、先行の方がやや有利という意外な結果が出ています。この傾向が一時的なものか、あるいは見過ごされてきた傾向なのか、さらなる検証が必要でしょう。

また、平均得点と先取の勝率の相関関係も興味深い点です。サッカーのような低得点競技では1点の価値が極めて高く、それゆえに引き分けの割合も高くなっています。一方、バスケットボールのような高得点競技では、先制点の重要性が相対的に低くなる傾向が見られます。

本書は、各スポーツの特性を数値化し、客観的に分析することで、私たちが当然と思っていた常識に疑問を投げかけています。これは単なるスポーツ統計の域を超え、戦略立案や競技ルールの再考にも影響を与える可能性のある、示唆に富んだ研究といえるでしょう。

本書は、スポーツにおける「先取」の重要性を数値で明確に示し、各競技の特性や戦略を新たな視点から考察する機会を提供しています。特に柔道と野球における意外な結果は、競技の本質や戦略の再考を促すものです。

また、得点システムと勝率の関係性についての洞察は、スポーツ全般における戦略立案に新たな視点をもたらしています。スポーツファンはもちろん、データ分析や戦略策定に興味がある人にとっても、非常に価値のある一冊といえるでしょう

オタクのメガネ率、調べてみた。

本書は一見すると単なる思いつきのように見える「オタクのメガネ着用率」という題材を、驚くべき規模と精度で調査し、分析した異色の一冊です。

著者は「オタクが集まりそうな場所でメガネ着用率をカウントする」という、多くの人が思いつくものの実行に躊躇するようなアイデアを、見事に実現させました。

特筆すべきは、その調査規模。サンプル数は驚異の19,000人に及び、おそらく著者一人で行ったと思われるこの調査の労力と根気には、ただ驚嘆するばかりです。

この「狂気」とも呼べる徹底した調査姿勢は、単なる好奇心の域を超え、社会学的な価値さえ感じさせます。一般的には些細と思われるような事象を、これほどまでに真剣に、そして大規模に調査することで、私たちの持つ「オタク」というステレオタイプや、サブカルチャーにおける外見の特徴など、さまざまな社会的考察の糸口を提供しているのです。

本書は調査結果そのものの興味深さはもちろんのこと、「徹底的に調べ上げる」という姿勢の重要性、そして一見無意味に思えるテーマであっても、真剣に取り組むことで得られる洞察の価値を教えてくれます。

調査の具体的な結果については、ぜひ読者自身の目で確かめていただきたいところです。この本は、データ分析に興味がある人、サブカルチャー研究者、そして「なぜだろう?」という素朴な疑問を大切にする全ての人にとって、刺激的で有意義な読書体験となります!

アイドルソングの一人称調べてみた。

本書はアイドルソングの歌詞に焦点を当て、一人称と二人称の使用傾向を詳細に分析した独創的な研究書です。

著者の調査対象は幅広く、48グループ、坂道グループ、ハロプロ、スターダストプロモーション、ジャニーズなど、日本の主要なアイドルグループを網羅しています。

この本は主に二つの読者層に強くアピールするでしょう。

まず、アイドルファンにとって本書は宝庫といえます。推しグループの歌詞における一人称・二人称の使用傾向を知ることで、そのグループの特徴や、ファンへのアプローチ方法をより深く理解できるでしょう。

例えば、ハロプロ内でもグループによって使用傾向に差があるという発見は、各グループのターゲット層や表現スタイルの違いを示唆しており、ファンにとって新たな視点を提供します。

次に日本語研究者にとっても本書は貴重な資料となります。特に興味深いのは、一般的な言語使用と歌詞の中の言語使用の差異です。

例えば、女性が多く所属する坂道グループで最も多用される一人称が「僕」であるという事実は、現代日本語における性別と一人称の関係性に新たな視座を与えます。これは、オタク文化における女性の言語使用や、より広く、日本社会における性別役割の変化を反映している可能性があります。

本書の価値は単なるアイドルファン向けの興味深い統計資料としてだけでなく、現代日本語の変遷を追う上での重要なデータセットとしても評価できるでしょう。アイドルソングの歌詞という、一見軽視されがちな分野に光を当てることで、著者は言語学的にも社会学的にも意義深い研究成果を提示しています。

アイドル文化愛好者はもちろん、言語学者や社会学者にとっても、本書は新たな研究の糸口となる可能性を秘めた一冊だと言えるでしょう。

アンパンマンのキャラどんな食べ物が多いか、調べてみた!

本書は子供から大人まで幅広い年齢層に愛されるアニメ「アンパンマン」に登場するキャラクターを驚くべき詳細さで分析した異色の研究書です。

著者は実に1263体ものキャラクターを調査対象とし、その名称から様々な角度で分析を行っています。

調査の範囲は多岐にわたり、敬称や分類の組み合わせ、食品・生物・無生物・区分・品詞といった多様な視点からのランキングを提示しています。

さらに「おじさんvsおばさん」「おじいさんvsおばあさん」「実在生物vs非実在生物」など、ユニークな対決形式での分析も加え、読者の興味を引き付けます。

しかし、本書の真髄はむしろ分類過程での著者の苦悩を綴ったコメント欄にあります。

例えば「ひのたまこぞう」の生死の判断に関する考察など、一見単純に思える分類作業の背後に潜む哲学的な問いが浮き彫りになっています。

このような分類の困難さは同様の研究に携わる者にとって共感を呼ぶ内容であり、著者の真摯な姿勢が伝わってきます。

この種の研究では明確な決定打を見出すことが稀であり、最終的には研究者が「エイヤ!」と主観的に決断せざるを得ない場面も多々あります。

私自身も「#ドジっ子看板 研究」において同様の分類の難しさに直面しており、著者の苦悩に深く共感を覚えました。

本書は、単なるアンパンマンキャラクターの分析にとどまらず、分類学や言語学、さらには存在論的な問いにまで踏み込む深い考察を含んでいます。

アニメキャラクターという親しみやすい題材を通じて、学術的な思考プロセスや研究の難しさを一般読者に伝える稀有な一冊と言えるでしょう。

アンパンマンファンはもちろん、データ分析や言語学、哲学に興味を持つ読者にとっても、新たな視点や思考の糸口を提供してくれる刺激的な読書体験となることでしょう。

著者との対話を通じて、読者自身も分類や定義の難しさ、そして研究の奥深さを実感できる、知的好奇心を刺激する一冊です。

参考リンク

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