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「無理ゲー社会」橘玲著のメモ

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約8分

橘著、「無理ゲー社会」が素晴らしかった。僕がなんとなく疑問に感じていることを明快に説明してくれる。氷解した。特に心に刺さった箇所をメモしたので、自分用ではありますが、公開します。気になった方はぜひお読みください。

公平と平等の定義 P8

「公平(機会平等)」と「平等(結果平等)」は違う。例えば50メートル競走を例にする。

「公平」とは、子供たちが全員同じスタートラインに立ち、同時に走り始めること。しかし足の速さに違いがあるので、順位がつく。結果は「平等」にならない。

対して脚の遅い子どもを前から、速い子供を後ろからスタートさせて全員同時にゴールすれば結果は「平等」になるが、「公平」ではなくなる。

能力(足の速さ)に差がある場合、「公平」と「平等」は両立しない。

人々が理不尽だと思うのは不公平のほう。

格差の何が問題か P9

1.競争の条件が不公平ではないと感じてる人がいる。(例、奴隷制による黒人社会や、それを是正するためのアファーマティブアクションによる白人労働者)

2.勝手に競争をさせられている理不尽さ(いきなり錦織圭とテニスをさせられる、藤井聡太と将棋をさせられる)を感じてる人がいる。

ドリームハラスメント P28

若者たちが「夢」に押しつぶされていく実態を「ドリーム・ハラスメント」と名づけた。(高部大問)

大学生は就職活動で「あなたの夢を教えてください」「10年後どうなっていたいですか」と訊かれるが「夢なんて無いんですけど、どう答えればいいんですか?」という相談が次々とくる。

高校でも同様。「夢に囚われずに生きたい」というのが若者たちの本音。これは「夢のファシズム」で大人や社会が「夢を持たせよう」ということを若者はハラスメントと感じる。

かつては良い大学に入れば、良い会社に入れることが暗黙の合意があったため、生徒への教育が容易だった。今ではそれが崩れてる。

そのため今は勉強するモチベーションを与えるために「夢を実現するためにはいま頑張らなければならない」という夢至上主義が蔓延することになった。

リベラル P32

日本では「リベラル」を自称するひとたちが自己責任論を蛇蝎の如く嫌っているが、これは奇妙な話。自由な選択に責任を取らなくていいのなら、それは「好き勝手」で、みんながそんなことをすれば社会秩序はたちまち崩壊するだろう。それを防ごうと個人の選択に国家が介入するなら、これは「全体主義(ファシズム)」以外の何でもない。自由と自己責任はリベラルな社会の基盤であり、それを分離しようとすれば、このいずれかの道を進むしかない。

メリトクラシー(能力主義) P75

I(知能) + E(努力) = M(メリット)

メリットは「知能に努力を加えたもの」

メリトクラシーの背景には
・教育によって学力はいくらでも向上する
・努力すればどんな夢でも叶う
という信念があるが、

これこそ「リベラルな社会」を成り立たせる神話

知能格差 P81

行動遺伝学が半世紀にわたって積み上げた知見
・知能の遺伝率は年齢と共に上がる
・思春期を終える頃には70%超に達する

しかしこの科学的事実(ファクト)を現代リベラル知識人は拒絶

→1950年代は知能が遺伝することは当然の前提とされていた

メリトクラシーの残酷さ P89

・階級社会では自分が成功できない理由を社会制度の責任にできる
・メリトクラシー(能力主義)は貴族政より公平。だからこそより不平等で残酷
・メリトクラシーでは全ての人に公平な機会があるので、自分が劣等であるという理由で、自分の地位が低いのだと認めなくてはならない

環境決定論と社会構築主義 P95

・第二次世界大戦後のリベラリズムは、ナチスの優生学の反省をもとに遺伝的要素を全否定
・男らしさ、女らしさすらも子育てや学校教育によって作られる極端な「環境決定論」を主張
・これが「社会構築主義」

PIAAC調査 P103

・2011〜12年にOECDが実施した「国際成人力調査」PIAACによると、
①日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない
②日本人の3分の1以上が小学校3〜4年生以下の数的思考力しかない
③パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかない
④65歳以下の日本の労働人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない

・しかし全ての分野で日本人の成績は1位(但し注釈あり)

先進国の数値を要約すると、
・先進国の成人の約半分(42.8%)はかんたんな文章が読めない
・先進国の成人の半分以上(52%)は小学校3〜4年生以下の数的思考力しかない
・先進国の成人のうち、パソコンを使った基本的な仕事ができるのは20人に1人(5.8%)しかない

調査NAAL(1985年、1992年、2003年) P108

「全米成人識字調査」では
・高校中退は高度な事務作業に必要な計算スキルを持つものは1%。大卒は31%
・高校中退は89%が一般的な事務作業に必要な計算スキルがない。大卒は26%

・知識社会は定義上、知能の高い者が大きなアドバンテージを持つ社会
・知識社会における経済格差は「知能格差」の別の名前

行動遺伝学 P109

・2000年に行動遺伝学舎エリック・タークハイマーが発表した3原則

第一原則 ヒトの行動特性はすべて遺伝的である
第二原則 同じ家族で育てられた影響は遺伝子の影響より小さい
第三原則 複雑なヒトの行動特性のばらつきのかなりの部分が遺伝子や家族では説明できない

行動遺伝学 P110

・行動遺伝学では「こころ」を「遺伝率+共有環境+非共有環境」で説明
・遺伝率は外見、性格、精神疾患を遺伝要因で説明できるかの指標。約70〜80%
・共有環境は家庭環境(子育て)
・非共有環境で最も影響力が大きいのは友達集団

メタアナリシス P111

・過去に独立に行われた複数の研究を統合し、一つの研究であるかのように解析する手法、メタアナリシス(メタ分析)

・双生児を対象としたメタ分析によると、ほとんどの項目で遺伝と非共有環境の影響が大きい。共有環境の影響はほとんどないか、極めて小さい

子育ての影響 P117

「子ども時代のことを思い出せば誰もが同意するだろうが、親(家庭)の影響が大きいのは幼少期までで、小学校高学年になれば友だちとの付き合いの方が大事になり、思春期を過ぎれば親の説教などどうでもよくなる。重要なのは親や教師からほめられるさことではなく、友だち集団のなかで注目され、よりよし(より多くの)性愛を獲得することなのだ。

だが大人になると、なぜかこうした体験を忘れてしまうらしく、子育てや教育の影響を(とんでもなく)過大評価するようになる。」

行動遺伝学 P118

行動遺伝学の知見によれば
・遺伝率は良い方向でも悪い方向でも「極端」になるほど高くなる
・並外れた才能も世間を震撼とさせる凶悪犯罪も、今では遺伝的要因が大きいことがわかってる
・逆にいうと平均付近の人にとっては、遺伝と育ちが半分

ベルカーブ P140

・政治学者チャールズ・マレーらは「ベルカーブ」を1994年に出版
・知識社会が知能(IQ)によっての分断を膨大なデータで示した
・人種(ヒト集団)によって、IQに違いがある
・白人とアジア系がIQが高く、黒人とヒスパニックは低い
・それが黒人などのマイノリティに貧困層が多い理由

学歴 P143

「高等教育は、一部の知能の高い子どもには利益をもたらすだろうが、授業や学校に適応できない子どもにとっては苦痛でしかない。だが知識社会は、教育で得をした人間(エリート)が支配しているので、この事実はなかったことにされている」

陰謀論 P148

問うべきは「なぜ陰謀論にハマるのか」ではなく、「陰謀論を信じるひとがなぜこれほど少ないのか」だろう。人々が陰謀論的に思考しているにもかかわらず、近代社会が科学や理性をもとに運営されているのは驚くべきことなのだ。

モテと非モテ P171引用

『生殖機能のちがいから、男と女では性愛のコストがとてつもなく大きな差がある。ここから、男の戦略は「できるだけ多くの女とセックスする」、女の戦略は「自分と子どもに尽くしてくれる男と長期的な関係をつくる」になる。その結果、恋愛市場においては「男は競争し、女が選択する』

恋愛の自由市場 P177

恋愛の自由市場において、
・男は若い時には外見(+コミュ力)
・30代を過ぎると経済力(+社会的地位)
・外見に自信のないまま中年期を迎え、経済的にも上手くいってないと、性愛の可能性から全面的に排除されてしまう

平等 P204

・歴史学者ウォルター・シャイデルによると、人類の歴史には平和が続くと、不平等が拡大する傾向を発見
・平等な世界をもたらすのは
・戦争
・革命
・統治の崩壊
・疫病
の四騎士

戦前までは格差社会だった日本が戦後になって一億総中流になったのは戦争

ベーシックインカム P218〜

・ベーシックインカム制度の致命的欠陥は移民にも支給するのか?
・「福祉磁石」を避けられるかどうか
・ベーシックインカム目当ての外国人女性と関係した大家族を作ると、生涯に30人の子供ができ、息子が同じように30人子供を作ると孫は600人になり、月6000万円の収入になる
・これを避けるためには誰が「日本人」かを区別する必要が生まれ、「排外主義国家」が誕生する